英語力についていうなら、それほど心配するには及ばないとも思える。第一に、学生の英語力が平均して落ちているとしても、大学進学者の比率が上昇しているためだともいえる。第二に、以前なら、英語の達人をごく少数、育てる教育方針がとられていたが、いまでは、幅広い層が「英語ぐらいはできる」ようにすることが目的になっている。達人がいなくなったとしても、英語を学ぶ層が拡大している。第三に、以前には、英語教育は、ごく少数の優等生に疑似英語をたたき込んで実態に合わない自信をもたせる一方で、それ以外の大多数にとっては、劣等感をたたき込まれるだけのものになっていた。劣等感をたたき込まれた結果、たいていの日本人は他の言語ならすぐに慣れるのに、英語だけはなかなか上達しない。たとえばフランス語圏に行けば、数週間から数か月で日常会話には不自由しなくなるのに、英語圏に行った場合はそうはいかない。学校教育の力が落ちてきているとすると、劣等感をたたき込まれることもそれはどなかったはずだ。英語嫌いにもなっていないはずである。社会人になって英語の重要性に気づけば、しっかりしたノウハウをもつ民間の教育機関で学ぶようになるだろう。