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元気な小犬がまったく動かなくなってしまった

それからというもの、どこに行くのにもこの犬をお供にし、ニューヨークの生活にも華が添えられたように感じた。マンハッタンのアッパー・イーストサイド3番通り、57丁目にはブルーミンクこアールという上流階級御用達のデパートがある。ここは犬を散歩させながら買い物ができるデパートとして有名で、早速この子犬を連れて買い物に出かけてみた。犬をこよなく愛するニューヨーカーから「なんて可愛いの!」という声がかかり、私はやや自慢気にこの犬を見せて歩いたものだ。休みの日はロングアイランドの郊外にドライブに出かけ、野原でフリスビーを投げて、この犬を思いっきり走らせた。トイープードルは小さな犬だが、祖先は水鳥を捕まえる狩猟犬だから運動が大好きだ。プードルの毛が縮れているのは水から上がってきたとき、すぐに乾くためである。プードルは賢いことでも有名で、サーカスで芸をする犬の代表でもある。ところがいつも元気なこの犬(ハナと名づけた)が、あるときまったく動かなくなってしまった。その一週間前にハナの顔に一匹のダニがついていて、近くの動物病院で取ってもらったばかりだった。いったいどうしたのだろう?まだ大学院生で臨床医としての経験のない私は、ハナに何か起きたのかさっぱりわからなかった。ただ、ロングアイランドにゴルフに行くと、必ず大きな木に。ダニに注意!ライム病に感染します!ぷとの警告がなされていたことを思い出した。ライム病は日本には存在しない病気だが、アメリカ東海岸ではダニを介する深刻な伝染病である。この病気の特徴は動物と人間の両方に感染し、発病すると発熱、間接痛、皮膚湿疹を引き起こす。原因はスピロヘータと呼ばれる、細菌とウイルスの中間的な感染物質で、梅毒と同様なタイプの微生物だ。厄介なのは放っておくと病気はどんどん進行し、最終的に神経に感染して歩行障害、意識障害などを来たす。最悪の場合は死に至ることもある。治療はスピロヘータに効くミノマイシンのような抗生物質を投与すればよいので、早期発見が肝心である。