アーカイブ

贅沢な豊かさを表現したモード作品が登場

布地と労働力の不足によって、配給制で配られる婦人服は男っぽい肩の張ったジャケットとストレートな短いスカートだったわけですから。まだ無名の新人のデビュー・コレクションに集まった関係者もきっとそんな格好で出かけたはずです。そこにたっぷりとした分量感の贅沢な豊かさを表現したモード作品が登場した衝撃は、想像を絶するものだったに違いありません。ディオールの衝撃を語るうえで興味深い1枚の写真があります。おそらくニュールック発表から間もない頃でしょうから、40年代後半にシカゴで撮影されたものです。女性団体が怒りの表情で「ディオール、ゴー・ホーム」とか、「ディオールを火あぶりに!」と書いたプラカードを持って抗議している。また別の写真では、ディオールのモードに身を包んだ女性のスカートを、ハサミを持った女性達が取り囲んで切り刻もうとしている。64年にクレエンユのミニスカートが登場した時代にも同じような過剰反応があったようですが、ディオールのニュールックに対する社会現象はその比じゃないほどすさまじい強烈なものだったのでしょう。